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College Students (And Covid-19) Will Travel Home For Thanksgiving
(Forbes - Nov 10, 2020)
Thanksgibing休暇を控え、全米の学生が帰省する。
帰省の手段として飛行機、バスや電車を使う学生がいる。
Thanksgivingが終われば、学生たちはキャンパスに戻ってくる。
帰省前のCOVID-19感染テストを求めたり、今年のThanksgiving休暇の帰省を推奨しない学校があるが、学生への要求は学校毎に異なる。
ACHA(米国健康学会議)は、学生が帰省するのであれば以下のことを推奨している。
2020年春の学生の移動(旅行や帰省)がCOVID-19感染拡大の一因になっている。
(以下、略)
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日本も感染者数が急増していますが、GO TO...を継続しているように、政府が『旅行を推奨』してます。
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Instant view: Pfizer, BioNTech say their COVID-19 vaccine is more than 90% effective
「ファイザーが開発中のCOVID-19ワクチンが90%以上の有効率」
この記事に驚き、有効性の評価方法に関する記載を探しましたが見つからず。
AstraZeneca says Pfizer COVID-19 vaccine results encouraging
「アストラゼネカはファイザーのCOVID-19ワクチンの試験結果が励みになると声明」
ワクチン開発の会社が言うのだから、90%は意味があるのだろうと。
Pfizer, BioNTech initial vaccine results impress, but scientists remain cautious
「ファイザーのワクチン試験の結果は印象的だが、研究者は慎重に考えている」
なになに、どういうことかな? と記事を読んでみた。
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発表時までに94例がCOVID-19に感染しているが、ワクチンは90%以上の有効性と発表されている。
この試験はプラセボ群とワクチン群の比較であり、プラセボ群に多くの感染が確認されたという結果。
約44,000人の健康被験者が参加した試験だが、当初の計画では32例の感染が認められた時点で中間解析を行うとしていた。
アメリカ規制当局との相談において、94例の感染を確認するまで試験を継続している。
計画時の3倍の被験者が感染するまで検討を行っており、信頼性が高いとする研究者がいる。
一方、他の研究者等は以下のような疑問を抱いている。
ワクチンは重症化を防ぐのか
予防効果がどの程度継続するのか
高齢者にも効果があるのか
また、安全性の結果は月末まで明らかにならない
まだデータを開示していないことから、他の研究者が評価・検証できない
試験は164例の感染時の効果をみる計画となっている。
ファイザーは、このタイミングが12月中旬になると予想している
この結果を持って、FDA諮問委員会が承認推奨かどうか検討を行う
94例の感染者に占める黒人やラテン系の割合は明らかになっていない。両民族での感染率は高い。
高齢者の割合も不明。
94例のCOVID-19感染例で重症化した被験者は一人もいない。
FDAは当初、承認申請時のデータに5例の重症例を含めるよう求めていたが、後にこの条件を緩和している。
ワクチンが重症化や死亡を防ぐのであれば、日常生活に戻れる人が増える。
また、高齢者にも効果があるべき。
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試験デザインについて、CT.govを参照しました。
(本日のブログはCT.govのデザインについて書くつもりでしたが、3つめの配信記事をメインとしました)
さて、CT.govです。
This is a Phase 1/2/3, randomized, placebo-controlled, observer-blind, dose-finding, vaccine candidate-selection, and efficacy study in healthy individuals.
# of Primary Endpoint: 24
# of Secondary endpoint: 12
ワクチンの臨床試験に携わった経験がないので分かりませんが、それでも臨床第1/2/3試験は耳にしたことがありません。
また、主要評価項目が24、副次的評価項目が125というのも驚きです。
非常事態であり、出来るだけ早く安全性、有効性の評価を行おうとした結果だと勝手に思っております。
24の主要評価項目はすべて安全性に関するもの。
安全性を十分に確認しながら試験を進めようと考えたと思われます。
12の副次的評価項目に有効性評価の指標があります。
抗体価や感染有無の評価は副次的評価項目に入っています。
CT.gov番号(ClinicalTrials.gov Identifier)は「NCT04368728」。
興味ある方はご覧ください。
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Opdivo plus Yervoy combo approved in EU for first-line lung cancer
(PharmaTimes - 9th November 2020)
NSCLCのファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイ、化学療法2剤(2サイクル)の併用療法が欧州で承認
承認は、CheckMate -9LA 試験の結果に基づく
オプジーボ+ヤーボイ+化学療法2サイクル併用療法群は、化学療法群と比べて死亡リスクを31%減少した
PFS中央値は、併用療法群で6.8ヵ月、化学療法群で5.0ヵ月
オプジーボとヤーボイの併用療法は、欧州では転移性メラノーマ、進行純細胞癌に続く3つめの適応症
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下は参考に。
オプジーボとヤーボイの併用療法、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象とした 化学療法との併用療法に係る一部変更承認申請(小野薬品/BMS)
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FDA advisory panel not convinced of experimental Alzheimer's drug's effectiveness
(CNN - November 7, 2020)
FDA諮問委員会は、aducanumabの有効性を示す根拠が不十分だと結論した
諮問委員会の判決は、承認推奨がゼロ(承認非推奨が10、不確かが1)
FDAは諮問委員会の結果を考慮して承認可否を決定するが、判断は来年になりそう
aducanumabはBiogenおよびエーザイが開発中のアルツハイマー治療薬
アルツハイマー治療薬は過去20年近く新薬が出ていない
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上記は記事の最初のパートのみ。
この後「Expert panel questions drug's effectiveness」の小タイトルで記事が続きます。(本ブログでは割愛)
aducanumabにつきましては、下のリンクからエーザイのニュースリリース(日本語)を確認ください。
アデュカヌマブ、アルツハイマー病治療薬として米国FDAへ生物製剤ライセンス申請完了
上記リンクのエーザイの発表から一部引用。
”承認された場合、アデュカヌマブはADの臨床症状の悪化を抑制する初めての治療法となり、かつ脳内アミロイドベータ(Aβ)の除去が臨床結果の改善をもたらすことを実証した初めての治療法となります。”
アミロイドベータ説を採った薬(開発品)なのですね。
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Aspirin to be tested as potential COVID-19 drug in UK study
(Reuters - NOVEMBER 6, 2020)
COVID-19感染症の治療薬候補の一つとして、アスピリンがCOVID-19感染患者の血栓リスクを減少できるかどうか英国で大規模試験が計画されています。
(注:COVID-19感染症の重症患者において、血栓症、凝固異常や好中球減少症が認められたとの報告があります。Lancet掲載論文を一番下に掲示します)
英国のRECOVERYプログラムの一環として、研究者たちがCOVID-19感染症治療薬候補を調査していた。
調査対象の既存薬の中に幅広く使われているアスピリンがあった。
アスピリンは、有効である可能性がある、安全性が確立されている、安価であり、世界中で使用されていることが、今回の試験計画の趣旨
COVID-19感染症患者では、好中球の反応亢進により血栓リスクが高い。
これに対して、アスピリンは血栓リスクを低下させることが知られている。
大規模試験では、2000例以上のアスピリン150mg投与群について、2000例以上の対照群(COVID-19標準治療)と比較する。
(注:記事にはthe standard COVID-19 treatment on its ownと記載)
低用量アスピリンは、発がんリスクを減少させることが明らかになっている。
一方、内出血リスク、腎障害が報告されている。
RECOVERYプログラムでは、英国ではアスピリンの他に、抗生物質アジスロマイシンを用いた試験、トランプ大統領も投与されたRegeneronの抗体カクテル療法試験の計画がある。
ギリアド社のレムデシビルはCOVID-19感染症治療薬として米国で承認されたが、WHOの試験では良好な結果を示せなかった。
レムデシビルと比べると、アスピリンはとても安い。
RECOVERYプログラムは、安価かつ普及しているステロイド薬デキサメタゾンがCOVID-19に感染した重症患者に有効であることを最初に示した。
また、RECOVERYプログラムは、かつてトランプ大統領が褒めちぎっていた抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンがCOVID-19感染症に無効であることも示している。
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以下は参考です。
好中球と血栓について、日本語論文から関連箇所を引用して示します。
”すなわち,感染に際して好中球はDNA や核タンパク,さらに細胞質内のプロテアーゼ等で構成されるneutrophil extracellular traps(NETs)を放出して病原体の処理をおこない,同時に凝固反応や血小板活性化によって血栓形成を誘導し,感染の進展を防止していることが明らかにされてきた.”
(引用論文:好中球が関与する凝固の活性化と血栓形成)
Lancet論文
Coagulation abnormalities and thrombosis in patients with COVID-19(Lancet Haematol. 2020 Jun; 7(6): e438–e440.)
Histopathological findings and viral tropism in UK patients with severe fatal COVID-19: a post-mortem study (Lancet Microbe. 2020 Oct; 1(6): e245–e253.)
Haematological characteristics and risk factors in the classification and prognosis evaluation of COVID-19: a retrospective cohort study (Lancet Haematol. 2020 Sep; 7(9): e671–e678.)
この配信ニュースはReuters UKから。
Reuters UKか、この記事を書いた方はアメリカに対抗心があるのか、トランプさんが嫌いなのか、そんなことを考えながら記事を読んでいました。(笑)
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AZ’s Forxiga wins EU approval for heart failure
(PharmaTimes - 5th November 2020)
Jアストラゼネカのフォシーガは、欧州で駆出率が低下した心不全(HFrEF)の適応を取得。
糖尿病合併の有無に関わらず使用可能
臨床第3相試験(DAPA-HF試験)でフォシーガはプラセボと比べて複合アウトカム(心不全の悪化または心血管死に至る期間)を26%減少した。
この試験結果をベースに今回欧州で承認された。
フォシーガのHFrEF適応は米国では承認済。日本を含む世界の国々では承認審査中。
欧州の心不全患者は1500万人ほどで、少なくともその半分で駆出率の低下が認められる。
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]]>COVID-19感染症を対象としたレムデシビルの臨床試験結果(最終報告)がNew England Journal of Medicineに掲載されました。
あちこちから日本語報告(記事)が出てくると思いますが、余り目にすることがなければ週末にサマリーを書こうと思います。
Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Final Report
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(Health Policy Watch - 02/11/2020)
Regeneronは、安全性に関する懸念から、COVID-19に対する抗体カクテル療法の臨床試験への重度患者の登録を一時停止した。
独立データモニタリング委員会(IDMC)の提言による。
Eli Lillyのbamlanivimabに対しても同様の提言がなされている。
Regeneronの臨床試験は、酸素吸入が不要か低流量酸素吸入の患者を対象に継続している。
専門家の指摘によれば、早期の治療でより効果が得られる可能性があるが、過度の免疫反応が抗体カクテル療法の効果を減少する。
抗体カクテル療法により、COVID-19による来院を57%減少、1つ以上のリスクファクターのある患者では72%減少したことをRegeneronは公表している。
COVID-19入院患者に対する効果が期待できないとして、独立データモニタリング委員会(IDMC)はアメリカ国立衛生研究所(NIH)に対してLillyの臨床試験の停止を提言した
治療に意味がないことから中止となった。このことは、抗体療法は早期に実施すべきことを示していると専門家は指摘している
臨床試験は、軽度から中等度のCOVID-19感染患者を対象として継続している。
ModernaはCOVID-19ワクチンの臨床第3相試験で目標症例数の30,000例に達したことを10/22に発表している。
全症例の42%は、65歳以上または合併症のあるハイリスク症例
Modernaは、FDAに対して11月下旬の緊急使用許可申請を目標に準備を進めている
イギリスでは、MHRAがアストラゼネカが開発しているCOVID-19ワクチンに対して逐次審査(rolling review)を開始している。
MHRAは、ModernaのCOVID-19ワクチン、ファイザーのCOVID-19ワクチンに対しても逐次審査を開始している。
この3社にJ&Jを加えた4社がCOVID-19ワクチンの開発で先行している
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Regeneronの抗体カクテル療法は、トランプ大統領のCOVID-19感染に対する治療に用いられていました。
Regeneron Antibody Cocktail Used by Trump Faces Patent Suit
LillyのBamlanivimab情報(LillyのNews Release)は下のリンクから。
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Britain starts accelerated review for AstraZeneca's potential COVID-19 vaccine
(Reuters - NOVEMBER 1, 2020)
イギリスの医療製品規制庁(MHRA)は、アストラゼネカのCOVID-19ワクチンの迅速承認プロセスを開始した。
すなわち、MHRAは逐次審査(rolling review)を開始している。
逐次審査は規制当局がリアルタイムで臨床データを評価できる仕組みであり、規制当局と製薬企業との間で製造工程や実施中の臨床試験についてが協議進めることにより承認までの期間短縮を図ろうとするもの。
公衆衛生上の緊急事態に対する有望な薬やワクチンの審査を早めるアプローチである。
MHRAはファイザーのCOVID-19ワクチンに対しても迅速承認プロセスを適用している。
この他にJ&JやMondernaがCOVID-19ワクチン開発を競っている。
これらCOVID-19ワクチンの臨床試験の結果は数週間以内に明らかにされることが期待される。
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同様の制度として、日本には「先駆け審査指定制度」があります。
]]>J&J plans to test its COVID-19 vaccine in ages 12-18 soon
(Reuters - OCTOBER 31, 2020)
J&Jは12-18歳を対象としたCOVID-19ワクチンの臨床試験を開始する。
できるだけ早く開始するが、安全性には最も留意する。
上手くいけば、さらに年少を対象とした試験も考えており、規制当局と相談している。
FDAは子どもに対する臨床試験も重要だとしている。
医師の中には、小児多臓器系炎症性症候群の誘発を懸念する声がある。
ファイザーは12歳を対象に含めたCOVID-19ワクチン(mRNAワクチン)の臨床試験を既に開始している。 J
&Jのワクチンは免疫反応を刺激するもの
エボラワクチン(治験)の開発・製造に用いたプラットフォームテクノロジーAdVacを使用
J&JのCOVID-19ワクチンは、成人60,000例を対象とした臨床第3相試験は今年9月に開始している
重篤な事象が1例に認められ中断していたが、先週再開している
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<ワード>
小児多臓器系炎症性症候群
欧州と米国において、SARS-CoV-2に感染した小児での川崎病に似た炎症性疾患が報告されており、WHOは この疾患を「小児多臓器系炎症性症候群(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children)」と呼んでいる。
プラットフォームテクノロジー
プラットフォーム技術とは、ある種類のすべての分子に応用できる条件と方法の標準的なパッケージのこと
(Cytiva)
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両剤につきましては、臨床試験結果に関する下記情報について紹介する予定です。(予告)
アビガン
Experimental Treatment with Favipiravir for COVID-19: An Open-Label Control Study.
Engineering (Beijing). 2020 Mar 18
レムデシビル
Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial
Lancet. 2020 Apr 29
NIH Clinical Trial Shows Remdesivir Accelerates Recovery from Advanced COVID-19
NIH News & Events 2020 Apr 29
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COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
6回目は「COVID-19の検査法その2 抗体検査」です。
COVID-19の検査法その2 抗体検査
ニュースで取り上げられている抗体検査法は、抗原抗体反応を利用した迅速検査の手法の1つ。遺伝子抽出などの処理が不要であり、インフルエンザの診断や妊娠検査薬に応用されている。
一般的に、抗体検査はPCR法よりも感度に劣る。例えば、インフルエンザの検査において、一定時間経過しないと検出感度が落ちると耳にしたことがある人も少なくないだろう。
日本感染症学会、国立感染症研究所によるCOVID-19抗体検査キットの評価結果については、下記リンク先を参照いただきたい。
日本感染症学会 4種類の抗体検査キットを性能評価「診断への活用は推奨できない」(ミクスonline)
抗新型コロナウイルス抗体の検出を原理とする検査キット 4 種の性能に関する予備的検討(感染症学会)
迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価(国立感染症研究所)
一方、ロシュの抗体検査キットは精度が高いと報告されている。
ロシュの抗体検査薬、米で許可 日本でも5月申請へ(日本経済新聞)
文章作成日:2020/5/5
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参考とした情報
本文中にリンクを表示
]]>COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
5回目は「COVID-19の検査法その1 PRC法」です。
COVID-19の検査法その1 PRC法
PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応、英:Polymerase Chain Reaction)とは、遺伝子の特定領域を増幅する方法のこと。
COVID-19感染の検査法としてニュースとして目にすることが多いが、感染症ウイルスの特定だけでなく、出生前診断や法医学等においても幅広く応用されている。
PCR法では、任意の遺伝子領域を基にしてDNAを複製し、複製して増えた任意の遺伝子領域をさらに複製という具合に複製を繰り返すことにより、特定の任意の遺伝子が増幅される。
PCR法で増幅することにより、微量な検体であってもウイルスの特定が可能となる。
なお、すべての検査に共通するが、PCR法にも偽陽性、偽陰性という精度の限界を含む問題がある。関心のある方は下記記事を読まれたい。
PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に
文章作成日:2020/5/5
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参考とした情報
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COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
4回目は「ウイルスと細菌との違いー比較」です。
ウイルスと細菌との違いー比較
文章作成日:2020/5/3
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参考とした情報
Differences Between Bacteria and Viruses
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COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
3回目は「ウイルスと細菌との違いー細菌の構造」です。
ウイルスと細菌との違いー細菌の構造
細菌は、べん毛、線毛、莢膜、細胞壁、ペリプラズム、細胞膜、細胞質などから構成される。細胞質には、細胞膜に付着する形でゲノムDNA、プラスミド、また電子伝達系などの一部のタンパク質が存在し、リボソームやその他のタンパク質は細胞内部に混ざっている。
生物は細胞で構成されている、細胞核のある「真核生物」と細胞核を持たない「原核生物」に大きく分けられる。このうち、細菌は原核生物に分類される。細菌は、栄養があれば自ら成長したり増えたりすることができる。
一方、ウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないため自己増殖することができず、非生物とされることもある。
多くのウイルスは自己の複製に必要な最小限の遺伝子情報しか持たず,複製の大部分を宿主細胞の生存および増殖機構に依存している
(挿入図:Quiz: Trivia Question On Bacteria Cell Structureから)
文章作成日:2020/5/3
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参考とした情報
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COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
2回目は「コロナウイルス」です。
コロナウイルス
コロナウイルスは、エンベロープをもつ楕円形あるいは多形成のウイルスである。コロナウイルスのウイルスゲノムはポジティブ一本鎖RNAであり、RNAウイルスの中では最大サイズである。(ウイルス 第61巻 第1号,pp.109-116,2011)
(挿入図:Virus Particle)
ウイルスの基本構造は、粒子の中心にあるウイルス核酸と、それを取り囲むカプシド (capsid) と呼ばれるタンパク質の殻から構成される。一部のウイルスにはエンベロープ (envelope) と呼ばれる膜成分がある。エンベロープは通常、宿主細胞膜(リン脂質とタンパク質)に由来し、ウイルス性糖タンパク質も含み、宿主の免疫系を回避することを助ける。
ウイルスは、DNAウイルスとRNAウイルスに大別される。それぞれの遺伝物質は一本鎖の場合と二本鎖の場合がある。一本鎖RNAウイルスはさらに[プラス鎖]RNAを有するウイルスと[マイナス鎖]RNAを有するウイルスに分けられる。
1本鎖RNAウイルス[プラス鎖]は、ゲノム本体そのものがmRNAとして働き、ウイルス蛋白質を作り出す。細胞質内で自らが持つRNA依存性RNAポリメラーゼで複製する。1本鎖RNAウイルスには、コロナウイルスの他に、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、ノロウイルス等がある。
文章作成日:2020/5/2
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参考とした情報
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COVID-19に関する情報は日々変わっていくことから、本日までに調べたことについて先に本ブログ「くすりなひと」にアップします。項目分けして示しますが、例えばアビガンが承認された場合など後日追記するようなことが出てくると思います。
今週末には別サイトで公開したいと考えています。
それでは、内容に入ります。
初回は「COVID-19とは」です。
COVID-19とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年12月に中国の武漢市において確認され、今では世界的なパンデミックを引き起こしている。
COVID-19は、各記事で新型コロナウイルスとも称されるように、コロナウイルスの一種である。なお、米国疾病予防管理センター(CDC)が「Coronavirus (COVID-19)」と称するように、英語では必ずしも「新型」に当たる英単語は付されていない。
COVID-19の「COVID」の由来は、coronaの「CO」、virusの「VI」、diseaseの「D」と説明されている。一方、ウイルス名としては別の名前が付いている。SARSを発症させるウイルス(SARS-CoV)の姉妹種として「SARS-CoV-2」と国際ウイルス分類委員会(ICTV)が名付けた。
コロナウイルスのうち、ヒトで疾患を引き起こすコロナウイルスは7種類あるが、このうち3種類(SARS-CoV,MERS-CoV,SARS-CoV2)が今世紀に致死的な大規模感染を引き起こしている。
文章作成日:2020/5/2
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参考とした情報
Q&A on coronaviruses (COVID-19)
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Is COVID-19 Coronavirus Leading To Toilet Paper Shortages? Here Is The Situation
(Forbes 2020/03/06)
オーストラリア、シンガポール、香港、カナダ、アメリカ…。そう、トイレットペーパーが不足に備えて買う人が増え、世界中の人たちが店に殺到しているようです。
1時間半で192,000ロールを完売。
カナダのコストコでトイレットペーパーが売り切れ状態。
(手荷物受取所のターンテーブル上のトイレットペーパーの写真には笑えてしまいます)
ある意味、パニック状態です。
日本だけではないです。
Big Pharma grounds employees: GSK, Bristol, Roche, Sanofi and more limit travel due to coronavirus
(FierceParma)
大きな製薬企業でも出張の制限をしているようです。
]]>(Forbes 2020/03/03)
日本の承認薬が新型コロナウイルスに効くかもしれない。
ドイツの研究からの報告です。
SARS-CoV-2が細胞内に侵入する際にTMPRSS2(II 型膜貫通型セリンプロテアーゼの一種)の活性化が重要な役割を果たすことが研究で明らかになった。TMPRSS2の活性化を阻害する化合物として、カモスタットメシル酸塩(camostat mesylate)が該当したとしています。
詳しくは記事本文と下記リンク先を参照ください。
カモスタットメシル酸塩
慢性膵炎等に処方される蛋白分解酵素阻害剤。ジェネリックが出ています。
参考:カモスタットメシル酸塩錠100mg「トーワ」(くすりのしおり)
(くすりのしおり)
(竹田先生 国立感染症研究所)
それと…
(日経メディカル)
その他の記事(時間なくリンクのみ)
新型コロナウイルスの治療薬開発に製薬企業が協力
Pfizer's R&D Chief On Why The Healthcare Industry Must Collaborate To Beat COVID-19 Coronavirus
(Forbes 2020/03/04)
資材不足
(Health Policy Watch 2020/03/04)
WHO warns of global shortage of medical equipment to fight coronavirus
(Reuters 2020/03/03)
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このように高薬価の新薬が最近は次々と出てくる印象がありますが、このことに関連したニュースが配信されていました。
過去11年間に薬価が60%上昇しており、これはインフによる物価上昇の3.5倍にあたるとしています。日本の話ではないですが、日本はデフレな上に可処分所得が減少している(と私は理解)ことから、高薬価の薬が余計に高く思えます。
Drug prices rose three times faster than inflation over the past decade, despite discounts
STAT (2020/03/03)
ブログ再開して新型コロナウイルスの話題ばかりですが、今日も。
新型コロナウイルスによるアメリカでの死亡者が3例増えて9例。またワシントン州。シアトル近郊のようです。ワシントン州での感染者は死亡例を含めて27人、アメリカ全土では108人となっています。
9th Person Dies From Coronavirus In Washington State As Cases Increase Across U.S.
(Forbes 2020/03/03)
Three more die in Seattle area from coronavirus as U.S. promises 1 million test kits
(Reuters 2020/03/03)
]]>新型コロナウイルスによる死者がアメリカで2人目。死亡した2人ともワシントン州からの報告です。
米国で新型コロナウイルス2人目の死者、NYでも初の感染者報告
今朝ReutersやForbesをみると、更に4例の死亡が報告されていました。新型コロナウイルスによる死者は全米で合計6人。この6人全てがワシントン州です。
Yahoo! Japanニュースが古い情報を流しているというより、事態が刻々変化しているのだと思います。
Six dead of coronavirus in Seattle area, U.S. officials scramble to prepare for more cases
Reuters (2020/03/02)
4 More Die From Coronavirus In Washington State, Bringing U.S. Toll To 6
Forbes (2020/03/02)
また、Forbesは新型コロナウイルスの影響により、抗生物質を含む医薬品不足がアメリカでより進む恐れについて記事にしています。全世界における医薬品の原薬の80%は中国で生産されています。
Coronavirus Outbreak Will Lead To More Drug Shortages In The U.S., Including Antibiotics
Forbes (2020/03/02)
過去にも原薬生産が中国依存傾向にあることから、米中貿易戦争による医薬品不足への懸念に関する記事が配信されていたかと思います。このため「Lead to More Drug Shortages」なのかな(記事をすべて読んでいません)。
日本では医薬品不足に関するニュースを目にしない気がしますが、各製薬企業や医薬品卸は既に対策を取っているものと信じています。
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Mainland China reports 573 new coronavirus cases on Feb. 29
Reuters (2020/03/01)
中国において2/29に確認された新規の新型コロナウイルス感染者数は573人であり、前日の427人よりも増加。一方、新型コロナウイルスによる死亡数は前日の47人から36人に減少。この新規感染例の99%(565人)は武漢からの報告。
まだピークを越えていないのかな。これらの数字が正しければ、武漢を除く地域では封じ込めに一定の成果を挙げることができていそうですね。
No, You DO NOT Need Face Masks For Coronavirus—They Might Increase Your Infection Risk
Forbes (2020/02/29
健康な人がマスクをつけても感染を防ぐことができるものではない。マスクが感染を防ぐというエビデンスがない。また、マスクを正しく着用できていない。むしろ、マスクをつけている人は顔に多く触れことが多いことから、返って感染のリスクが高くなる。マスクを付けるのは病気になったときだけ。
新型コロナウイルス感染防止に「マスク不要」という欧米発信の発表や記事をみかけます。その方々が日本の混雑した電車に日々通勤していても同じ発言がでてくるのでしょうか。心因的な要素も多いように思えるのですが。
Bicycle, Roche collab for immuno-oncology therapies
PharmaTimes (2020/02/2
BicycleとRoche (Genentech)が癌免疫療法の創薬および前臨床でタッグを組む。Bicycleには着手金ならびにマイルストーン報酬が支払われる。
アストラゼネカは、切除不能な局所進行の非小細胞肺がん治療薬として、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(ブランド名:イミフィンジ)の国内承認を取得しました。米国での承認から半年が経過しておらず、欧州での承認が未だという早い承認でした。
デュルバルマブはPD-L1に結合してPD-L1とPD-1受容体との結合を阻害し、免疫応答を増強することにより腫瘍増殖を抑制すると考えられています。
また、同社のオラパリブ(ブランド名:リムパーザ)に対して、がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌の適応追加が承認されました。
リムパーザは、BRCA遺伝子変異によってDNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、がん細胞死を誘導するPARP阻害剤です。
イミフィンジの添付文書が本日すでに公開されてます。
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/670227_42914C0A1026_1_02.pdf
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キイトルーダの非小細胞肺がんを対象としたファーストライン試験(KEYNOTE-042:NCT02220894)において、キイトルーダ単剤投与群は化学療法群と比べてPD-L1発現レベルに関わらず全生存期間(OS)を有意に延長したことが確認されました。
キイトルーダはPD-L1の発現レベルが50%以上の進行性または転移性非小細胞肺がんに対するファーストライン療法として承認されていました。今回、KEYNOTE-042試験の中間解析結果において、PD-L1発現レベルが1%〜49%の患者においても効果が認められたことから、PD-L1発現レベルに関わらず、PD-L1陽性の非小細胞肺がん患者に有効であることが示唆されます。
KEYNOTE-042試験は今後も継続し、副次的評価項目の無憎悪生存期間(PFS)が評価されます。
この話題、Reutersでも昨日見かけたのですが、情報不足に感じたので本日のエントリーとなりました。
Merck's Keytruda helps lung cancer patients live longer in trial
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70代でも新しい脳細胞が産生されるとする研究結果が発表されました。新しい脳細胞は、新たな記憶や環境の変化への適応に不可欠なものです。研究は、脳疾患以外の死因により亡くなった14歳から79歳までの28名の男性の脳を調べることにより実施されました。
Human Hippocampal Neurogenesis Persists throughout Aging
しかしながら、神経可塑性や血管が年齢とともに低下することが知られています。神経可塑性および血管新生の低下は高齢者において顕著に認められます。この低下を防ぎ、脳(海馬)を健康に保つためには、健康なライフスタイル、社会的相互作用および運動が大切とされています。
*神経可塑性:シナプスの信号伝達能力や形が、刺激の量によって変化・適応すること。(weblio辞書から)
少し前のスーパープレゼンテーション(NHKの番組)において、長寿の秘訣は社会との交流(知人、隣人との会話など)であることのプレゼンが放映されていました。ネットを介しての交流ではなく、周囲の人々との直接的なふれあい、会話が重要とのことです。
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オプジーボ 480mgの4週間間隔投与がFDAに承認されました。240mgの2週間間隔投与と患者に合わせての選択肢ができました。また、承認済みの適応症すべてについて、それまでよりも短い30分での点滴静注も承認されました。
アメリカにおいて、オプジーボは、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、古典的ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、尿路上皮がん、転移性大腸がん、肝細胞がんの適応で承認されています。(マイクロサテライト不安定性…といった条件はこの記載から省いてます)
日本で承認されている適応症は、添付文書(下記リンク)を参照ください。
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180188_4291427A1024_1_26.pdf
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欧州医薬品庁(EMA)は、アストラゼネカ社(AZ社)のフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の1型糖尿病治療薬としての適応追加申請を受け付けました。
申請のベースとなるデータは第3相DEPICT試験の結果です。血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、用量調整可能なインスリン療法にダパグリフロジンを追加投与した結果、プラセボと比べてHbA1cの有意な低下、体重減少およびインスリン用量の減少が認められています。安全性に関しては、ケトアシドーシスの発現頻度増加が認められていますが、これは1型糖尿病では想定できたこととAZ社はコメントしています。
DEPICT試験の結果については、AZ社のプレスリリース(下記リンク)からどうぞ。
アストラゼネカの糖尿病治療薬SGLT2阻害剤フォシーガの1型糖尿病患者さんを対象としたDEPICT-1試験で低血糖を伴わない血糖コントロールの改善、体重減少、インスリンの1日総投与量の減少効果が示される
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アストラゼネカは、スピンオフして重度の自己免疫疾患に特化した新会社Viela Bioを設立することを水曜日に発表しました。
新会社では、6品目(臨床段階:3、前臨床段階:3)を扱います。この中には、希少疾患である視神経脊髄炎の治療薬として開発中のinebilizumabが含まれており、2019年中か2020年初めの承認申請が予定されています。一方、狼瘡治療薬として開発中のanifrolumabはアストラゼネカのパイプラインに残るようです。
新会社には、Medimmuneの人材が異動するようです。
アストラゼネカは過去にもスピンオフして会社を設立していました(2008年、2015年)。
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今月初めの日経新聞に「不要な抗生物質の使用を控えるための方策」に関する記事が掲載されていましたが、イギリスでも同様の問題があるようです。
参考:抗生物質「風邪なら投与」はダメ 医療界や厚労省(日経新聞)
イギリスのGP(プライマリーケア医)において、使用目的が明確でない抗生物質の処方が多いとの調査結果が発表されました。
Antibiotics in primary care in England: which antibiotics are prescribed and for which conditions?
抗生物質の乱用は耐性菌が増加する懸念があります。
私が参加した2002年の日本化療学会で「耐性菌増加の懸念があるので、風邪に対する抗生物質の処方をやめましょう」と講演で呼びかけていた先生がおられました。(呼びかけは、これ以前からあったかもしれません)
15年以上経過した現在においても、日本、イギリス等で不要な抗生物質が多く処方されていることは、難しい問題です。記事に「抗生物質は万能薬(原文:a ‘catch all’ for every illnessを意訳)と考えている患者がいる」旨の記載があります。日経新聞でも「抗生物質を出してください」とお願いする患者が少なくないことが記載されています。
不要な抗生物質の処方を減らすためには、処方する側だけでなく、患者つまり一般の人にも正しい理解を得る必要があるので、大変な苦労を伴うものでしょう。
イギリス政府は、不適切な抗生物質の処方を2020年までに50%削減する目標を立てています。
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欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)は、トラスツズマブを用いる補助療法後の延長補助療法としてネラチニブ(neratinib)の承認を推奨しないとの判断をしました。
乳がん再発率の低下が期待されるが臨床現場でこの効果が示されるか不確定なことに加え、副作用発現(特に下痢)を懸念したようです。
承認可否は欧州委員会(EC)が決めますが、CHMPの判断に従うことが多く現状のままでは承認は難しいかもしれません。開発したPuma Biotechnology社は、追加データなしで承認を得ることが難しそうだとしています。
なお、ネラチニブはアメリカでは昨年承認されています。
FDA approves neratinib for extended adjuvant treatment of early stage HER2-positive breast cancer
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ノボノルディスク社といえばインスリンで有名ですが、GLP-1受容体作動薬の「経口投与剤」セマグルチド(semaglutide)の開発を進めており、複数実施している臨床第3相試験の最初の結果が良好であったとのこと。血糖コントロールに優れ、体重減少効果も認められたようです。
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ノボノルディスク社といえばインスリンで有名ですが、GLP-1受容体作動薬の「経口投与剤」セマグルチド(semaglutide)の開発を進めており、複数実施している臨床第3相試験の最初の結果が良好であったとのこと。血糖コントロールに優れ、体重減少効果も認められたようです。
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アストラゼネカのPD-L1抗体デュルバルマブ (durvalumab: Imfinzi)が局所進行切除不能非小細胞肺がん治療薬としてFDAから承認されました。
デュルバルマブは昨年、既治療進行膀胱がんとしてFDAから迅速承認を取得していました。しかしながら、進行膀胱がんの市場規模は大きくないため、今回の承認はアストラゼネカが待ち望んでいたものです。
承認のベースとなった試験(PACIFIC試験)では、プラセボ群のPFS(無増悪生存期間)が5.6ヵ月(中央値)だったのに対して、デュルバルマブ投与群では16.8ヵ月と有意にPFSを延長した結果が示されていました。
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先週、ベーリンガーインゲルハイムがBI 409306のアルツハイマー治療薬としての開発中止を発表したことを書きましたが、メルクもアルツハイマー病試験(verubecestatの第3相試験)に失敗して開発中止となったことが発表されていました。
Merck just dashed the last remaining hopes for its industry-leading BACE drug for Alzheimer’s
このようにアルツハイマー病の臨床試験は失敗が続いていますが、メルクの発表を受けたわけではないと思いますが、FDAはアルツハイマー病治療薬の承認に向けた新たなガイダンスを発表しました。簡単に言えば、これまでの臨床試験がエンドポイントとしてきた「症状の軽減」ではなく、アルツハイマー病の生物学的な指標(例えるなら、心臓発作を防ぐ目的で血圧を降下させる)を基に審査を行うというもの。アルツハイマー病の病態については不明なことも多く、病態解明につながる研究を活発化させる狙いもあるようです。
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中国のGenScript Biotech社が血液がん患者35例を対象としたCAR-Tの臨床試験で良好な成績を得たことが分かりました。
再発・治療抵抗性の多発性骨髄腫患者35例を対象とした初期臨床試験において、33例にCAR-T細胞療法から2ヵ月以内に緩解が認められたようです。GenScript Biotech社は、次相の試験を第二四半期には開始し、2020年までに上市したい考えです。
CAR-T細胞療法としては、ノバルティス社、そしてギリアド社が欧米で承認を得ています。GenScript Biotech社はこの市場に入り込もうとするものです。
全世界において現在実施中のCAR-T細胞療法の臨床試験はアメリカがトップで186試験ですが、中国では153試験とアメリカに迫る勢いです。比較すると日本での試験数が非常に少なく感じられます。(日本企業頑張って)
なお、CAR-T細胞療法は非常に高価であり(ノバルティスUS$475,000、ギリアドUS$373,000)、かつ市場が限られているためどこまで売上を伸ばせるか。
これは感想ですが、CAR-T細胞療法は固形がんへの応用で苦戦を強いられているところ、血液がん同等の効果を固形がんで示すことができれば他社に比べて一歩リードとなるのでしょうが果たしてどうでしょうか。(固形がんへの応用の現状について、近いうちにまとめを作るつもりでいます)
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アメリカおよびカナダにおいて、ネズミをペットとして飼育している人へのソウルウイルスの感染が報告されています。両国でこれまでに24例の感染者の報告があり、このうち8名に症状が認められ、3名が入院加療ののち回復しています。
ソウルウイルスについては、厚生労働省関西空港検疫所の海外感染症情報に説明があります。
以下は引用です(一部略。正確には情報源を参照ください)。
ソウルウイルスはハンタウイルスの一種で、感染した齧歯類のエアロゾル化した尿、糞、唾液やラットの巣や寝床の埃から人に感染します。また、咬傷により皮膚や粘膜内に直接ウイルスが侵入して感染することもあります。同ウイルス感染症の症状は軽症から重症まで様々で、重篤な場合は出血性腎症候群を引き起こします。ヒト-ヒト感染はありません。
ネズミと触れる際には、手洗いをすること、噛まれたり引掻かれたりしないよう注意が必要としています。
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ベーリンガーインゲルハイムは、PDE9阻害薬BI 409306のアルツハイマー治療薬としての開発を中止することを発表しました。
アルツハイマー病による認知障害を伴う患者457例を対象とした臨床第2相試験において、BI 409306はプラセボと比較して認知機能の改善が認められない結果が得られたことによる判断です。この試験結果は、今年のAAIC(Alzheimer’s Association International Conference)で発表される予定です。
ベーリンガーインゲルハイムは引き続き、精神分裂症を対象としてBI 409306の開発を継続します。認知症の領域では、グリシントランスポーター 1(GlyT1)阻害薬BI 425809の開発を継続していきます。
PDE阻害薬は、cAMP/ cGMP を分解するPDEを阻害し、記憶に関わる海馬におけるcGMPの減少を改善することにより、認知機能を改善することが期待されています。日本の会社では、エーザイがPDE9阻害薬の開発を進めていたかと思います(E2027)。
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2012年〜2016年にFDAに承認された174の医薬品を調査した結果、迅速承認プログラム対象となった医薬品では承認までの期間が約1年間短縮されたとする調査結果がJAMA誌に発表されています。
JAMA
The FDA’s Expedited Programs and Clinical Development Times for Novel Therapeutics, 2012-2016
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FDAがハーセプチンのバイオシミラー薬を承認しました。年間67億ドルもの売り上げのあるハーセプチンのバイオシミラーが市場に出ることにより、医療費削減の期待が期待されますが、どうなりますでしょうか。
ハーセプチンは、HER2に特異的に結合して抗腫瘍効果を発揮する抗体医薬です。
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2009年〜2013年に欧州で承認された抗がん剤48剤(適応としては68)について調査した結果、既存薬等と比べて臨床的に意味のある生存率の改善が得られていない薬剤が少なくないことがBMJ誌に発表されました。
また、承認時に生存率やQOL改善への寄与が示されていなかった薬剤について、承認から3.3年経過してもエビデンスが示されていない薬剤が少なくないようです。
BMJ誌に発表された研究結果は下記へのリンクから。
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アマゾンが実店舗として薬局経営にも乗り出すのかという話題ですが、記事の簡単な内容につきまして、帰宅後に時間があれば書きます。
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アムジェンのレパーサ(Repatha)およびサノフィ/ Regeneronのプラルエント(Praluent)は、昨年アメリカで承認されたPCSK9阻害薬です。
プラルエントがレパーサに関する特許侵害をしているとして、アムジェンが2014年に地方裁判所に提訴し、2016年にアムジェンの特許が有効であるとの判断が下されていました。
この後の経緯を調べきれていないのですが、この裁判の後に、プラルエントの販売停止(sales ban)を勝ち取っていたようです。サノフィ/ Regeneronは、これを不服として米国連邦控訴裁判所に控訴していましたが、サノフィ/ Regeneronの主張が認められたようです。
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今年の夏にFDAがC型肝炎治療薬としてMavyret(アッヴィ)を承認した直後、メルクおよびJ&JはC型肝炎治療薬の開発を取りやめました。C型肝炎治療薬の開発を進めている会社が他にないことから、既に上市された薬剤(ギリアド、アッヴィおよびメルクの製品)がこの市場を分け合うことになります。この3社の中ではギリアド社がマーケットリーダーであり、開発中止のニュースは朗報にみえますが、そうでもないようです。
まず、C型肝炎治療薬の市場そのものが縮小傾向にあります。その上、MavyretがHCV遺伝子1型〜6型のすべてに対して使用可能であること、競合薬よりも治療期間が短く薬価が低く抑えられているため、保険会社はMavyretの処方を推奨すると考えられます。
Mavyretの参考:FDAが慢性C型肝炎にMavyretを承認(海外がん医療情報リファレンス)
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アメリカ癌協会(American Cancer Society)は、2015年の乳がん死亡率が1989年と比べて40%低下したことを報告しました。32万人強の命が救われた計算になります。この減少は、治療薬の進歩およびマンモグラフィーによる早期発見が寄与したとしています。治療薬として、術後補助療法としての化学療法レジメン、ホルモン製剤タモキシフェンの開発、そしてハーセプチンの登場があったと。
しかしながら、これだけ死亡率が減少しても、乳がんはアメリカ人女性のがん死において2番目に多いがんであり、昨年は4万人以上が乳がんで亡くなっています。
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順調に適応癌腫の拡大を続け、売上を伸ばしてきたキイトルーダですが、今後の成長の予測において考慮すべきポイントがあるようです。
キイトルーダは、アメリカにおいてメラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬として承認されて以降、非小細胞肺がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌、そして、直近では進行胃がんの適応が承認されるなど適応癌腫を増やし続けています。これに伴い、売上も倍増を続け、今後も成長を続けることが予想されています。
しかしながら、成長のスピードに関して、2つの点について考慮しておく必要性を記事は伝えています。
1つは、今年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された頭頸部がん患者を対象としたキイトルーダの臨床試験結果(Keynote-040)がネガティブと捉えられていること。この試験では、キイトルーダ群および標準療法のOSがそれぞれ8.4ヵ月および7.1ヵ月でキイトルーダ群が有意に優れていますが、試験前に定めた有効性に届かなかったことからネガティブ(失敗)とされています。(一方、オプジーボのポジティブな臨床試験結果がESMOで発表されました)
ESMO 2017: An uncertain future for Merck’s Keytruda
2つめには、免疫チェックポイント阻害薬としての競合薬の存在。競合薬としてオプジーボがありますが、オプジーボに加え、J&Jやアストラゼネカの免疫チェックポイント阻害薬が適応拡大を続けてくることは明らかです。
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Verzenio(abemaciclib:イーライリリー)が進行乳がんの適応でFDAに承認されました。
Verzenioは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬です。CDK4/6阻害薬は、細胞周期の移行に関与するサイクリン依存性キナーゼ CDK4 および CDK6 を特異的に阻害することにより、腫瘍細胞の増殖制御するものです。別のCDK4/6阻害薬としては、先行するイブランス(パルボシクリブ:ファイザー)が先月27日に国内承認されたことが耳に新しいかと思います。
しばらく更新を休んでいましたが、本日より再開しました。時間の制約上、簡単な紹介となる日が多くなると思いますが、気になる内容の記事のときには調べた結果を一緒に紹介するつもりです。
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英Owlstone Medical社は、多くの癌腫に関連する呼気中のバイオマーカーを探索する研究を英国がん研究所と一緒に立ち上げました。
この研究(PAN Cancer trial)では、膀胱がん、乳がん、頭頸部がん、腎がん、食道がん、膵がん、前立腺がんおよび脳腫瘍の早期発見につながる呼気中のマーカー探索を目的としています。例えば、膵がんは発見が遅れることが多く、10年生存率は1%程度とされており、この数字は過去40年間変わっていません。早期発見する方法が見つかれば、より多くの患者を救うことができるとしています。また医療費の削減も期待できます。
Breath Biopsy(呼気検査)のイメージ
英Owlstone Medical社は、呼気中の肺がんのマーカーの探索を現在実施しています(LuCID試験:NCT02612532)。
この試験では、肺がんの疑いのある患者を対象としており、がん細胞の代謝物がマーカーとして特異性などの評価を行うようです(参考:Breath Biopsy® - VOC Biomarkers on Breath)。PAN Cancer trialも同じような試験デザインになるのかと想像されます。
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WHOが77か国からの情報収集をした結果として、オーラルセックスによる淋病感染と、これよる喉の痛みに対する抗生物質の服用により生じる耐性菌の増加に警鐘を鳴らしました。
耐性菌が出現してもその耐性菌に対する新しい抗生物質がすぐに開発できないこと、むしろ、抗生物質の開発は費用対効果を考え各製薬メーカーが積極的でないことから、自己防衛が求められます。
薬剤耐性淋菌(Antibiotic-Resistant Gonorrhea)に関しては、CDCの下記サイトを参照ください。
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セルジーン社が、遅ればせながら、免疫チェックポイント阻害薬の市場への参入を目指すという記事です。
セルジーン社は、Beigene社の抗PD-1抗体BGB-A317のアジア地域外での権利を手にしました。免疫チェックポイント阻害薬としては、オプジーボおよびキイトルーダが先行しており、これから単剤投与で市場に食い込むことは難しいため、固形がんを対象に他剤との併用療法をテストしてくことになりそうです。Beigene社の抗PD-1抗体BGB-A317は、現在は固形がん患者に対するPARP阻害薬との併用試験を実施しています。
参考:Celgene bags Beigene PD-1 drug for $263M up front(FierceBiotec)
免疫チェックポイント阻害薬の市場は急成長を遂げており、これまでセルジーン社の抗がん剤とオプジーボまたはキイトルーダとの併用という形での“参入”はありました。しかしながら、多発性骨髄腫を対象とした試験において、キイトルーダ併用療法群で死亡例が増加したことを受けて試験が中止となるなど、順調とはいえないようです。
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毎度おなじみ、The Motley Foolのベスト~シリーズです。今回は2016年の販売上位医薬品のベスト9を示しています。ジェネリック医薬品が普及しているアメリカで薬剤費が年々増加している大きな要因はこれら薬剤の高薬価に原因がありそうです。
それでは、1位から順に。(記事は9位から示しています)
これらすべての薬剤のセールスは年間60億ドルを超えています。
古い薬がいくつも含まれているように感じます。それだけ、バイオシミラー医薬品の開発・販売の壁が大きいのでしょう(メーカーも対策を講じていますが)。
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メルク(日本ではMSD)が実施したCETP阻害薬アナセトラピブの大規模試験において、プラセボ群と比べて心血管イベントを減少したことが明らかになりました。ただし、今回は具体的な結果の公表はなく、8月に開催される欧州心臓学会(ESC)にて試験」結果が発表されるようです。(安全性は、従来の試験と同等だったとは報告されています)
アナセトラピブは、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)を阻害することによりHDLを増加し、LDLやVLDLを減少させる薬剤です。CETP阻害薬は、ファイザー、ロシュ、イーライリリーなども開発を進めていましたが、安全性への懸念や有効性が高いわけでないことなどを理由に開発が中止されています。
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勘違いされる方がいる可能性があるので、はじめにお断りしておきますが、ニュース元の国の話であり、すべて日本に当てはまるとは限りません。
アメリカでは抗うつ剤サインバルタのジェネリック医薬品が承認されています(日本は未承認)。このサインバルタのジェネリック医薬品に対して、イーライリリーが開発・販売しているブランド医薬品と同等の臨床効果が得られないとのクレームが多く寄せられています。
記事には2つの理由が書かれています。サインバルタのジェネリック医薬品に限った話ではなく、ジェネリック医薬品全般に言えることだと思います。(注:すべてのジェネリック医薬品に当てはまるということではなく、特に問題がみられるジェネリック医薬品については、これら2つの理由が考えられるということです)
一つめの理由は、製剤技術の違いです。例えば、徐放性製剤のような技術です。ブランド医薬品が特許切れとなっても、製剤技術が特許に守られていることがあると「同一の製剤」を作ることができません。ジェネリック医薬品はブランド医薬品と同量の有効成分を含み、かつ同等性が検証されており、また、ジェネリック医薬品メーカーも独自の製剤技術を用いてブランド医薬品に近づけようとしていますが、臨床効果で差がでてくることがあります。
二つめの理由は、品質管理結果に小細工が加えられている恐れがあります。アメリカで流通しているジェネリック医薬品の多くは中国やインドで製造されており、FDAは過去に品質管理の問題を指摘してきた歴史があります。(第一三共が買収し、ずさんな生産体制でFDAから禁輸措置を受けたインドの後発医薬品メーカーであるランバクシーがその一例ですね)
アメリカのジェネリック医薬品として、同じく抗うつ薬であるWellbutrin(一般名:ブプロピオン)がFDAから承認を撤回されたことがありました。
http://www.raps.org/focus-online/news/news-article-view/article/4881/
サインバルタのジェネリック医薬品についても同様の措置が取られないか、注目されています。
以上はポイントをとても簡単にまとめたつもりですが、記事にはいろいろと記載されています。より詳細に知りたい方は原文をお読みください。
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Esperion社は、脂質異常症治療薬としてベンペド酸(bempedoic acid)の開発を進めています。記事は開発中の現時点で考えるべきマーケティングについて述べていますが、ここではベンペド酸を中心に簡単にみていきます。(注:私が理解した範囲で書きますので、正確には原文を参照ください)
ベンペド酸は、スタチンとは作用機序の異なる経口剤であり、1日1回の服用において、(他の脂質異常症治療薬でコントロール不良を含む)脂質異常症患者のLDL-C値を有意に低下させたことが報告されています。
ベンペド酸の作用機序は、(私の理解では)以下のものかと。
脂肪酸合成の過程において、ミトコンドリア内に蓄積したクエン酸は、ミトコンドリアからサイトゾルに運び出され、肝臓に多く存在するクエン酸リアーゼ(クエン酸を開裂させて脂肪酸合成のためのアセチルCoAを生成する)により、アセチルCoAに戻されます。生じた過剰のアセチルCoAは、脂肪酸生合成の原料となります。
ベンペド酸は、肝臓においてコエンザイムA誘導体としてクエン酸リアーゼに直接作用して、アセチルCoAの生成を阻害し、さらに肝臓のLDL-C受容体発現を増加することにより、血中LDL-C値を低下させます。
ベンペド酸とスタチンの併用試験において、ベンペド酸併用群はスタチン単独投与と比べ、LDL-C値を約20%程度低下させたことが報告されています。
記事に書かれたベンペド酸のマーケティング戦略については、ゼチーアにとって代わるもの、価格戦略で高価なPCSK9阻害薬に対抗していこうとするものなど書かれていますので、興味のある方は原文へお願いします。
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肥満度の大きい被験者(ベースラインの平均体重111kg、BMI約39)957例を対象としたGLP-1受容体作動薬セマグルチドの第2相試験において、52週間投与後、対照群(食事療法および運動療法)では2.3%の体重減少のところ、セマグルチド投与群では13.8%までの体重減少が認められたことが分かりました。
セマグルチドは血糖降下剤として先行して開発が進められており、週1回投与で良好な血糖コントロールと体重減少が認められたことが報告されています。糖尿病患者を対象として日本でも試験が実施されていますが、日米ともに未だ承認はされていません。
同じくGLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名:ビクトーザ)でも体重減少が認められますが、ビクトーザ投与後の減少率は5~10%です。
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FDAは、リツキサン(一般名:リツキシマブ)の新剤形として、リツキサンの皮下注(Rituxan Hycela)を承認しました。Rituxan Hycelaの適応症は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および慢性リンパ性白血病です。
Rituxan Hycelaは、リツキシマブとヒアルロニダーゼ(酵素)を配合した製剤です。皮下注にすることにより、点滴静注で90分以上かかった投与時間が5~7分程度に短縮されます。
承認は、点滴静注と皮下注の血中抗体量が同等だったことに基づくと書かれており、同等性試験を実施したのかと。
なお、Wikipediaによるとヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を加水分解する酵素。ヒアルロン酸は間質組織の主成分であることから、組織の浸透性が増加するとのことです。リツキシマブとの配合での効果について、記事では触れていません。
皮下注は1~2週間で臨床の現場に供される予定です。
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アッヴィが開発中のJAK阻害薬upadacitinibの関節リウマチ患者を対象とした第3相試験において良好な成績が得られました。
12週間投与後の結果は以下の通り。
ACR20
upadacitinib 15mg: 64%、30mg:66%、プラセボ:36%
ACR70
upadacitinib 15mg: 21%、30mg:27%、プラセボ:6%
DAS28でClinical Remission(< 2.3)を達成
upadacitinib 15mg: 31%、30mg:28%、プラセボ:10%
JAK阻害薬としては、ファイザーのトファシチニブ(ゼルヤンツ)が日本でも承認されています。
トファシチニブの有効性(ACR)を参考までに示しておきます。
(注:対象患者集団が異なる可能性があり、あくまでも参考に。下表はゼルヤンツの添付文書から)
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アストラゼネカのオラパリブ(Lynparza:日本未承認)のBRCA遺伝子変異陽性乳がん患者を対象とした第3相試験(OlympiAD試験)において、オラパリブ投与群は標準的な化学療法と比較してPFSを延長し(PFS中央値7.0ヵ月 vs. 4.2ヵ月)、病勢進行または死亡のリスクを42%減少したことがASCOで発表されました。また、オラパリブ投与群の副作用は化学療法投与群よりも少なかったとのこと。
[時間がないため、帰宅後に追記…]
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WHOはEssential Medicines Listを更新しました。
Essential Medicines List(必須医薬品モデル・リスト) とは、Wikipediaをみると、「必須医薬品の一覧表であり約300品目が収載されている。医薬品の入手が困難な開発途上国で最小限必要な医薬品として、入手しやすさ等も考慮して選定されており、医療援助の際の指標ともされている」と説明されています。
今回の更新では、耐性菌対策として抗生物質の使用に関して3つのカテゴリー(Access、Watch、および"Reserve)に分類しての助言の追加、そして、C型肝炎ウイルス薬、抗HIV薬、結核治療薬、抗がん剤の追加がされています。
これらの変更について本ブログで細かく触れませんので、WHOのNews Releaseをご覧ください。
Reutersの記事の最後で触れているのですが、オセルタミビル(商品名:タミフル)について、インフルエンザ治療に関する新たなエビデンスが出てこない場合、WHOはリストから外すことを検討しているようです。WHOは更新されたデータセットを受け取っているようですが、期待したほどの効果が得らないとWHOは考えているようです。ただし、妊婦や合併症を持つ患者によっては有用であることから、オセルタミビルの投与対象を限定して使用との考えもあるようです。
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ファイザーが開発中の不可逆的EGFR阻害薬ダコミチニブとイレッサのEGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん患者を対象とした試験において、ダコミチニブがPFS(無増悪生存期間)を延長したことがASCOで発表されました。その一方で、ダコミチニブ投与群の副作用発現率はイレッサ投与群よりも多かったようです。
試験は452例を対象に実施され、PFSはダコミチニブ投与群で14.7ヵ月、イレッサ投与群で9.2ヵ月でした。ダコミチニブでは、イレッサと比べてがんの進行リスクを41%減少した計算となります。しかしながら、その強力なEGFR阻害作用が正常細胞にも影響を及ぼし、痤瘡や下痢が高頻度で報告されており、ダコミチニブ投与群の約60%で減量の措置がとられています。
ダコミチニブは、不可逆的EGFR阻害薬です。不可逆的EGFR阻害薬としては、先にアファチニブ(ブランド名:ジオトリフ)が上市されています。
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Merck KGaA(独メルク)といえば、ファイザーとともに抗PD-L1抗体BAVENCIO(一般名:アベルマブ)の開発をした会社として知られますが、英F-Star社が創薬し、前臨床段階にある二重特異性抗体FS118の開発権を手にしたようです。
二重特異性抗体とは、2つの異なる抗原への結合能をもつ抗体のことであり、各社開発を進めています。FS118でみると、PD−L1とLAG-3に対する抗原結合部位を有するようです。2つの抗原を認識することにより相乗効果を発揮し、抗腫瘍効果の増強が期待されています。
LAG-3(lymphocyte activation gene-3)は、免疫チェックポイントタンパクの一つです。MHCクラスII分子との相互作用により活性化T細胞を抑制します。
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