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ビタミンEなど抗酸化物質は肺癌の進行を早める
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    配信記事「Antioxidants including vitamin E can promote lung cancer: study」からです。

    ビタミンEを含む抗酸化物質は肺癌の進行を早めるとの論文発表を受けて書かれた記事です。この論文は以下のリンクから参照ください。
    Antioxidants Accelerate Lung Cancer Progression in Mice

    ビタミンEやβカロチンは、喫煙者のような高リスク群の初期肺癌を予防するのではなく、むしろ進行させるらしいとの指摘が以前よりありました。論文は、従来からの指摘に対する答えとして、抗酸化物質(ビタミンEなど)は細胞の腫瘍化予防システムを逃れることを助けるとしています。

    これだけではよく分かりませんね。論文の言わんとすることを(私なりの補足も含めて)もう少し具体的に説明します。

    DNAの損傷は、紫外線、喫煙、放射線などの刺激によるだけでなく、正常な代謝活動でも日々生じています。生物にはDNAの修復機構が備わっていますが、DNA損傷を修復できずに癌化した場合にはアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導して生体を守っています。

    ビタミンEなど抗酸化物はDNA損傷を減少しますが、これにより「修復が必要な損傷」と認識されないほど小さな損傷に抑えられます。つまり、アポトーシスが必要であると認識されないため、p53遺伝子によるアポトーシス誘導が起こらない。つまり、癌化した細胞が破壊されないということのようです。

    こうなると、肺癌に限った話ではなく、他の癌でも同様な注意が必要ということかと思います。

    なお、p53遺伝子ですがWikipediaでは次のように説明されています。
    P53遺伝子は、一つ一つの細胞内でDNA修復や細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルの抑制を制御する機能を持ち、細胞ががん化したときアポトーシスを起させる。この遺伝子による機能が不全となるとがんが起こると考えられている、いわゆる癌抑制遺伝子の一つ。

    注意したいのは、抗酸化物質の摂取が悪いのではなく、過剰摂取した抗酸化物質が腫瘍増殖を促進していると指摘していることです。日々の食事で摂取できていればよいということです。

    抗酸化物質の過剰摂取がよくないと多くの報告があるのですが、ビタミンのサプリメントや抗酸化物質が健康によいと一般に認識されていることが不幸だとジョンズホプキンス大学の疫学教授は指摘しています。一方では、アメリカ人の平均的な食事では必要量のビタミンEを摂取できないとの指摘もあります。

    ビタミンEは植物油に豊富に含まれるため、通常の食事をしていれば欠乏ということはないと思うのですが、欠乏すると溶血、不妊症、筋委縮症や脳軟化症の原因になると言われています(Wikipedia)。ですが、ビタミンEは脂溶性ビタミンのため体内に蓄積しやすく、過剰摂取すべきでないと以前より指摘されていました。過剰摂取による弊害として骨粗鬆症のリスク増加や血液凝固系への影響が示唆されています。

    本ブログで過去に紹介した記事では、相反する評価がありました。「サプリメントとしてのビタミン摂取による健康へのベネフィットは限られる」で紹介した配信記事には、サプリメントでビタミンEを摂取することはむしろ有害であることが記されていました。一方、「ビタミンEがアルツハイマー病の進行を抑制する」で紹介した配信記事ではアルツハイマー病の進行抑制効果が示唆されていました。
    | その他オンコロジー領域 | 10:05 | comments(0) | - |