Reutersの「FDA approves Bayer's Stivarga to treat most common liver cancer」からです。
FDAは、バイエル社のマルチキナーゼ阻害剤スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)の肝細胞がんの追加適応を承認しました。バイエル社は、肝細胞がん治療薬としてネクサバール(ソラフェニブ)を開発・販売している会社でもあります。
ソラフェニブが奏功しなかった肝細胞がん患者573例を対象としたプラセボ比較試験において、全生存期間(中央値)はスチバーガ群10.6ヵ月、プラセボ群7.8ヵ月という結果が得られています。この試験の結果は、LANCET誌に発表されています。
レゴラフェニブは、腫瘍の増殖や進行に影響する血管新生、発癌および腫瘍微小環境に関わる機構において、さまざまなキナーゼを阻害する経口マルチキナーゼ阻害剤です。既に大腸がん治療薬として承認されています(ちなみに、日本での効能・効果:治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌,がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍)。
私、ソラフェニブの発売時の講演を学会で聞いたことがありますが、外国人スピーカーが何度も強調していたのが「プラセボと比較してたったの数ヵ月の生存期間と言われることがあるが、素晴らしいことなんだ」と。今回も3ヵ月程度の生存期間延長ですが、ソラフェニブの次の治療選択肢が得られたことに意義がありそうです。
また、わたくしは肝細胞がんの臨床試験に携わったことがありますが、担当医から「ソラフェニブは皮膚毒性(副作用)が酷い」と聞いたことがあります。スチバーガの肝細がん試験の対象患者が「adults with HCC who tolerated sorafenib(ソラフェニブに忍容性あり)」というのも一つのポイントかも。